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レポート公開|日本の小児ADHD の診療概況 ―DX を活用した治療の可能性―

日本の小児ADHD の診療概況 ―DX を活用した治療の可能性―

グローバル・カルテットでは、さまざまなテーマで自主調査レポートを公開しています。 第59回は「市場分析レポート|日本の小児ADHD の診療概況 ―DX を活用した治療の可能性― 」をお届けします。


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市場分析レポート|日本の小児ADHD の診療概況 ―DX を活用した治療の可能性― (全11ページ / 約2.3MB)

目的・背景

信州大学は2022 年10 月、2010~2019 年度に日本で注意欠如・多動症(ADHD)と新規に診断された人数を調べ、大人も子どもも新規診断数が増加したことを明らかにしたと発表した。2010~2019 年にかけてADHD と診断された0~6 歳児の数は2.7 倍、7~19 歳では2.5 倍、20 歳以上では21.1 倍にまで増加しているという。0~6 歳の子どもでは女児23, 292 名、男児97,986 名、7~19 歳では女性91,891名、男性289,862 名、20 歳以上では女性160,239 名、男性174,995 名との調査結果が出ている。米国疾病予防管理センター(CDC)の最新調査でも、米国内の3~17 歳までのADHD 症例数が2016 年から2022 年にかけて増えていることが報告されている。

CDC の統計学者であるメリッサ・ダニエルソン(Melissa Danielson)氏は、ADHD が増加している要因を主に2 つ挙げている。1 つ目は医師、両親、教師、そして子供たちがADHD の症状をより認識するようになり、症例を特定しやすくなったこと。2 つ目は、最近ではより多くの治療法があるため、医師が子供たちを検査・診断する理由が増えたことである。ADHD の診断や治療に慣れている医師が増え、様々な薬物療法や行動療法、学校サービスによって子どもたちを助けることができるようになった。日本では小児ADHD の診断数が増加傾向にあるにも関わらず、医師不足により初診の遅れが発生している。文部科学省が2022 年に発表した調査結果によると、小中学生の8.8%がADHD や自閉スペクトラム症(ASD)など発達障害の可能性がある。ただし、2020 年の厚生労働省の調査では、専門的な診断や治療ができる小児の精神科医が不足し、初診までの待機期間は平均2.6 カ月、⾧いと5 年近くになると報告された。待機期間を縮め、通院の負担も減らすにはオンライン診療が有用と考えられてきたものの、対面診療とその有用性を比べた研究は少なかった。

しかし、2024 年2 月、慶応義塾大学はオンライン診療が小児ADHD、ASD に有効との研究結果を発表した。ADHD やASD の子どもを対象に、症状の頻度や程度をオンライン診療と対面でそれぞれ評価したところ、結果がほぼ一致したという。また、通院と病院での待ち時間を計97 分程度短縮できるとの推計結果も出ている。

国内企業の動きとしては、スタートアップ企業による小児ADHD 治療アプリ開発開始の発表やオンライン診療を開始したばかりの企業事例も公表されている。本レポートでは、これらの企業事例やオンライン診療の有効性に関する研究結果を参考にしながら、DX を活用した小児ADHD 治療の将来的な可能性について論じたい。医師不足、初診遅れといった問題に対して、DX を活用した治療がどのような影響を与え得るか、そしてDX を活用することで生じ得る弊害等、想定される課題について考察する。

目次

  • イントロダクション
  • ADHD とは?
  • 日本国内の小児ADHD の概況
  • 小児ADHD に対するオンライン診療の有効性
  • DX を活用した企業の取り組みと課題
  • まとめ

【リサーチャー紹介】

R.Y
桜美林大学 リベラルアーツ学群卒業。
日系小売企業の海外新規店舗開発チームにて、契約関連業務や市場調査業務に4年従事し、現在は育休中につき、グローバル・カルテットにて社会人インターンとして参画。前職の銀行系コンサルティングファームでは、日系企業のタイ進出を現地でサポートする業務、現地市場調査にも従事。

 

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