【調査企画者座談会(前編)|クライアントに”感動”される調査レポートとは? 】

更新日: 2021.08.20

「リサーチ業務」と聞くと、調査を実施してその結果をまとめる仕事をしているというイメージがあるのではないでしょうか。しかし、それは、「グローバル・カルテット」では、あくまで業務の一部。最も得意とするのは、クライアントと対話をしながら課題を見つけ、調査による根拠を持って課題解決の提案まで行う、課題解決パートナーとして併走するような案件です。

今回の記事では、「グローバル・カルテット」の企画提案業務を支えているコンサル・リサーチ担当メンバー2名と、主に調査企画の立案を担当している代表の城を交えての座談会より、クライアントにとって「本当に使える提案」をするためのこだわりをご紹介します。

(前編)調査企画者座談会〜クライアントに”感動”される調査レポートとは?〜
(後編)調査企画者座談会〜リサーチャーが語る、調査会社を選ぶときのポイント〜

ー「グローバル・カルテット」で、クオリティコントロールや、提案業務の中核を担われているみなさんですが、それぞれキャリアが違うと聞いています。まずは、リサーチャーとしてのバックグラウンドを教えてください。

岡野:私は複数のリサーチ・コンサルティング会社でリサーチャーとして勤務した後、2015年からは飛騨に移住しフリーランスとなり、コンサル業務を主に行っています。クライアントは地方自治体や中小事業者、スタートアップ企業。ざっくりとした課題(例えば移住者を増やすには?事業領域を広げたいがどうしたらよいか?など)を具体的な課題に落とし、解決策を提案するのが得意です。部分的に調査だけというより”課題を丸ごと解決するお手伝い”をすることが多く、業務範囲はイベント企画やウェブ制作にまで及ぶこともあります。
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吉野:私はリサーチ会社にリサーチャーとして10年勤務しました。出産を機に退職をし、現在は育児をしながらグローバル・カルテットに参画しています。前職では、クライアントからいただく要望や要件をもとに、調査設計をしたり、報告レポートを書く業務をメインで行っていました。先方が提示する予算などの制約がある中で、最適な調査設計をし、課題解決の提案をすることにやりがいがありましたね。
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代表・城:私がグローバル・カルテットを立ち上げる前に最後に在籍していたのは、検索したら上位にすぐ上がってくるような大手ではなく、小さなリサーチ会社でした。その前に勤務していた外資系のグローバル調査会社やコンサルティングファームと大きく違うのが「リサーチャー自身がクライアントを見つけて、仕事を作りに行かないといけない」という環境。営業先でヒアリングをして、先方担当者が言語化できていないような課題を会話の中から拾って、「こういう調査で解決できますよ」と提案をする日々でした。そのときに得たスキルが今とても役立っていると感じます。
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意味のある調査、本当に使える調査とは

吉野:城さんのおっしゃっているように、「クライアントが課題を言語化できていない」ことは、クライアント持ち込み企画でも多々あります。定量調査を希望していたクライアントによくよく話を聞くと、本当に抱えている課題は、定量調査よりもインタビューのほうが解決しやすかったりなど、提案のし直しはよくありました。しっかりコミニュケーションをとって、課題がなにかという根本が明らかになっていないと「良い調査」はできないと感じます

ー調査に「良い」「悪い」があるんですね! 

吉野良い調査は次につながります。結果を見て、次の打ち手が見えてきたり、さらに調べてみたいことが浮かんできたり。

岡野:調査結果の数字をそのまま羅列して「XXはYYより○%高くなっています」「こういう考えが主流だとわかりました」以上!みたいなありきたりの型でしかないものは「悪い」調査であり分析ですよね。「だから何?」「で、どうすれば……?」の部分がわからなければ意味がないです

代表・城:そうそう、結果を見て「ふーん…」で終わる調査は「良い調査=役に立つ調査」とは言えないです。良い調査は、役に立つ調査。1、課題が明確 2、「要するに」と調査結果から新しくわかったことが一言でまとめられる 3、結果が次の施策につなげられる。これができないと調査する意味ってないですよね。

ー調査結果はファクトとして現れるものだから、そこに差異はないと思っていました。

代表・城:とんでもない! 調査はやりかた次第でまったくの別モノになります! 数字さえ出せばよいわけじゃないですから。

意味のある良い調査をするためには調査「前」が最も重要

ー「良い調査」をするにはどうしたらよいのでしょうか?

代表・城:「KeyFindings」もなければ、もちろん「提言」なんて皆無な調査結果サマリーも見かけたりする中で、吉野さんの書く調査結果レポートは、いつも的を絞ったサマリー構成と、そこを読み取った上での「だから何」の提案が的確で。以前提出したクライアント様が「調査結果ってこんな形でもらえるものなんですか!?自分の知ってる調査とは全然違う!」って度肝を抜かれていました。感動のあまり、外部のパートナー企業さんにも是非参考にして欲しいと提示したそうです。私もそういうレポートを書くコツをもっと知りたいです(笑)。

▲グローバル・カルテットにて納品した資料の一例

吉野:「グローバル・カルテット」のお仕事でレポートを書くときは、まったく迷わないんですよね。それは、城さんの書く調査企画の課題が明確だからだと思います。

岡野:最も大事な「だから何」が書けないのは、調査企画の段階で「答えるべき課題」が設定されないからです。調査の前に課題を明らかにしておくと、おのずとその課題に対する「ではどうすればよいか」が見えてきますから。

ーなるほど。実査の前の「調査企画」こそがキモなわけですね。城さんはどのようにして調査企画を書かれているのでしょうか?

代表・城:いつもやっているのは、クライアントに話を聞くときは、必ず録音や録画をすることです。それを聞き返しながら、大事なポイントを抽出するところから始めていますね。

ー毎回聞き返すんですか!?

代表・城:その場の解釈だけでは誤解があるかもしれないし、重要なポイントを逃しているかもしれないので。自分の中にしっかりクライアントの話を落とし込んで、そこから柱や文脈をつくります。頭から順番に書いていくのではなくまずは目次を書いて、その後詳細を肉付けしていくイメージでしょうか。「課題」が何なのかを意識して、どういうことがわかったらその課題に対する打ち手が明らかになるのかを考えるのが調査企画です。スッキリと筋が通るまで考えます。もやもやが残っていると、必ずその日の夜夢に出てきちゃうので、企画はひと晩寝かせて確認する主義です(笑)。

一同:夢にまで!!

吉野「課題」ではなく「手法」から入ってしまうとだいたい失敗しますよね。冒頭で話したように、例えば「定量調査をしたい」という手法から入った場合でも、本当の課題はそれでは解決できない場合もある。この場合、課題に立ち戻らずにそのまま定量調査を実施しても「ふーん」で終わってしまって、「良い調査」はできない可能性が高いです。

岡野手法ありきではなく、「課題ありき」という考え方は、提案をする上で最も大事なことですよね。土台がしっかりしないと良い家が建たないのと一緒です。「だから何」が記載されていない調査結果レポートを受け取って「調査ぜんぜん役立たないじゃん…」「調査ってやっても意味ないじゃん」という経験されたことがある方は、その経験で”調査=無駄”と諦めてしまうのはもったいないです! 調査の満足度は、設計で大きく変わりますよ! 

後編へ続く
〜後編では、「調査会社」を選ぶときのコツをご紹介します!

取材・文/あさのみ ゆき


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