グローバル・カルテットでは、ヘルスケア業界の最新トレンドを、ファクトをもとにその背景の深掘りや今後の展開への提言を行う自主レポートを定期的に公開しています。質の高いレポートを執筆できるのは、個性豊かで力のあるリサーチャーが集まっているから。今回は自主レポート執筆に携わるリサーチャーをインタビュー形式でご紹介します。

研究職としてアカデミアで培ったスキルを活かし、的確なファクト分析から
一歩先を読み解くレポートを執筆 齊藤遥さん
プロフィール
マギル大学医学部コミュニケーションサイエンス・障害学博士号(Ph.D)取得。
早稲田大学・中央大学などで言語学(専門は中国語)の研究助手および非常勤講師を務めたのち、カナダに移住しマギル大学で学位を取得。現地大学にて研究員として言語障害・視聴覚障害・バイリンガリズムの研究に従事する一方、フリーランスリサーチャーとして幅広い分野の市場調査・ユーザー調査を受託。統計モデルを用いた定性データ分析と、日中英の三言語に対応したデスクトップリサーチが強み。
執筆した自主レポート
希少疾患創薬の新潮流 -スタートアップ企業が拓く新たなビジネスモデル-
仮想現実(VR)はヘルスケアを変革するか -医療者支援と患者治療の最前線-
難聴者のための聴覚支援市場- 従来型の補聴器以外の新たなビジネスチャンス -(前編)
難聴者のための聴覚支援市場- 従来型の補聴器以外の新たなビジネスチャンス -(後編)
など
最新のヘルスケア業界のトレンドをテーマに、その背景を深掘りする
グローバル・カルテットの自主レポート
−グローバル・カルテットで公開している自主レポートでは、どのようなテーマを扱っているのでしょうか?
自主レポートでは、ヘルスケア業界で関心が高まっている分野を取り上げ、その背景や今後の動向についての考察を行っています。テーマのピックアップは日本の新聞記事・海外メディアのニュース記事などを読み、最新の業界トレンドの傾向の中から候補を出します。最終的には、マネージャーが、グローバル・カルテットにリサーチ業務をご依頼くださっているクライアント様とのやりとりを通して現場ニーズも把握しておりますので、そこと合わせてテーマを選定しています。特に新しい動きが多いヘルステックに関連するテーマにしたレポートが多いかもしれません。
−なるほど。自主レポートを読めば、業界のトレンドの背景がわかるということですね。
はい、そうですね。ニュースや新聞にあるファクト情報だけでは掴みづらい背景に踏み込み、俯瞰してトレンドを理解できるように執筆しています。ヘルスケア業界に関連する業務に携わっている方でも、担当分野の一歩外は見えづらいという話も聞きます。ご自身の専門分野のテーマはもちろんですが、そうでないものでも、ご興味のあるテーマのレポートを読んでいただければ、最新トピックについて理解を深められることを目指しています。
−齊藤さんがこれまで執筆されたのはどのようなテーマのものですか。
最近は、患者数が少ない希少疾患の創薬について、新たに台頭しているビジネスモデルの分析を行いました。従来の伝統的な開発モデルにある課題と、それを打破する可能性のある新たなビジネスモデルの動向について事例を集めながらまとめています。これまで解決できていなかった社会課題に対し、収益を得ながら解決できるということで社会貢献にもインパクトのある分野です。しかし一方で、新モデルには課題もあります。世界の動向を受けて、日本市場にとって、または患者様にとって、どのような影響が考えられるのか、欠けているピースが何なのかなどを検討し、今後必要になると考えられる観点まで導いています。
希少疾患創薬の新潮流 -スタートアップ企業が拓く新たなビジネスモデル-
他にも、長年話題になってきたVR技術が、最新の医療業界の現場ではどのように活用されようとしているのか、何年スパンで導入されていくのかを医療者視点と患者視点の両方から情報を集めて考察したレポートもあります。
仮想現実(VR)はヘルスケアを変革するか -医療者支援と患者治療の最前線-

カフェで執筆作業をすすめることも
また、難聴者のための聴覚支援市場をテーマに新たなビジネスチャンスの可能性を見出したレポートは、私が大学で研究してきた専門分野とも関連しています。難聴者のコミュニケーションに関する問題は、実は、高齢化社会の中で非常に重要であり、市場としても拡大傾向にあるととらえています。そこで、前・後編にわけて、日本と海外の最新事情を比較しながら分析し、今後の需要予測と課題予測を行いました。
難聴者のための聴覚支援市場- 従来型の補聴器以外の新たなビジネスチャンス -(前編)
難聴者のための聴覚支援市場- 従来型の補聴器以外の新たなビジネスチャンス -(後編)
質の高いレポートとはファクトを元にストーリーを見出し「一歩先の提言」があること
ーレポート執筆ではどのようなことにやりがいを感じていますか?
関連する複数の情報を整理し、分析することで、ニュースの背景にあるストーリーを読み解いていくという流れで執筆しています。リサーチをする中で「だからこうなっていたのか!」と謎が解けていくようなストーリーを見出すことが大きなやりがいになっていますね。ニュースとして情報が出てくるものは、氷山の一角にすぎません。実際はそのニュースにつながるまでに様々な要因が絡んでいます。
−中でも、齊藤さんが執筆する自主レポートは、読みやすく丁寧にファクトが整理されているだけでなく、そこから先の一歩踏み込んだ考察があることが読者の方から好評だと聞きます。
ファクトの紹介に終わらず、一歩踏み込んだ考察をすることは、まさにこだわっているポイントでもあります。事実の羅列だけに終わってしまっていて新たな視点や発見がないものだと、レポートにする意味がないと考えているからです。事実だけならば、ニュースを読めばわかります。「それで、そこからどういうことが言えるの?」という疑問にしっかり答えたい。事実がストーリーでつながり、その先の具体的なアクションにつながるレポートを執筆するように心がけています。
アカデミアで培ったキャリアと、グローバル・カルテットでの協業により、さらなる価値を創造する
−齊藤さんご自身は、現在もカナダの大学で研究員をされながら、グローバル・カルテットでのリサーチとレポート執筆業務も行っています。アカデミアの経験が齊藤さんのレポートにどのように活かされていますか。
アカデミアの分野で執筆する論文は、新規性が非常に重視される媒体です。リサーチの結果、その研究者なりの解釈や考察がないと評価されません。ですので、物事をみたときに、それがどういう意味を持つのか?という解釈を加える姿勢は、アカデミアの経験から身につけたものだと思います。
−では逆に、アカデミアでの論文と比較して、グローバル・カルテットでの自主レポートの特長はなんでしょうか?
自主レポートでは、考察を近い未来において役立つ視点や発見につなげるという点が論文と異なります。論文は研究なので、市場にどう実装するかというよりも研究を前に進めることが目的ですから。
また、グローバル・カルテットの自主レポートは、執筆過程で、他のリサーチャーやプロの校正者の方からフィードバックをもらう機会が多くあることも特長だと思います。もっと質を高めるにはどうしたらよいかという観点で、チーム内で様々な視点から多くのアイディアをもらってブラッシュアップしています。「このテーマはここが面白いポイントですね」など、ポジティブなコメントをもらうと嬉しいですね。
−なるほど。チームで仕上げていくのですね。具体的にはどのような工程を経てリリースに至るのでしょうか。
執筆テーマが決まったら、情報を集めて、まずは大きなストーリーを描きながら構成を考えるのですが、そのタイミングで、クオリティコントローラーと呼ばれるリサーチャーから意見をもらいます。読みやすい順序立てであったり、読者が興味を持ちやすいポイントだったりをしっかりと複数人で検討し壁打ちを行い構成をしています。その後の執筆において何度もファクトチェックを繰り返しつつ、読みやすさにこだわり、複数人で目を通し、何度も手を入れます。
−多様な視点を入れてクオリティを高めていけるのは、様々なリサーチャーが所属するグローバル・カルテットならではですね。
そうですね。質を高めるだけでなく、視点が人によって異なることは面白いところでもあります。私はアカデミア出身ですが、他のリサーチャーは、コンサルティングファーム出身だったり、事業会社出身だったり、様々なバックグラウンドの方が執筆をしているので、レポートの視点も自ずと多様になります。どのレポートも読み応えがあると思いますよ。
今後も、最新トピックのレポートを続々と出していきます。ぜひ定期的に自主レポートの更新をチェックしていただけると嬉しいです。
(インタビュー・文 あさのみゆき)
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